トリを務めてくれたのは、「琉舞華の会」の佐藤太圭子さんである。最も難しいと言われる二才踊(一般男子の踊り)である「万歳敵討」から抜き出して独立させた踊りだ。
筋書きはこうである。父親の敵討ちをするために芸を磨いてきた兄弟が、ようやく敵に巡り会い、磨いた芸を披露しながら近づき油断させ、とうとう敵を討つ。内容だけを見ると結婚式・披露宴にはふさわしくないように思うかもしれないが、「高平良万歳」はあまりの難しさゆえ、演じ手に高度な技術と精神力が求められる。いわば琉球舞踊の最高峰といってもいい踊りなのである。
本土から大勢の出席者があるので、琉球舞踊の素晴らしさを少しでも知って欲しいと思い、佐藤さんには無理を言ってお引き受けいただいた。実際、見ているうちに背筋がゾクゾクしてくる。気迫が伝わってくる名人芸なのである。